若者向けに銭湯の魅力を発信するウェブメディア「東京銭湯 – TOKYO SENTO – 」の開発・運用

若者向けに銭湯の魅力を発信するウェブメディア「東京銭湯 – TOKYO SENTO – 」の開発・運用

株式会社東京銭湯

銭湯は昔からお風呂を介した地域のコミュニケーションの場として機能していました。しかし近年は家にお風呂があることが一般化し、需要の減少と共に銭湯の数は年々減ってきています。

そこで、減少傾向にある全国の銭湯の価値を広め、銭湯文化の魅力を再評価するムーブメントを起こすために、ウェブメディア「東京銭湯 - TOKYO SENTO -」を企画し開発・運用を行いました。

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課題背景

ウェブメディアで銭湯の価値を広めことで銭湯文化を盛り上げたい

近年、多くの銭湯は諸般の事情から収益性の低下、後継者不足、設備の劣化などの課題に直面しています。しかし、銭湯はご近所付き合いが希薄になった現代において地域のコミュニケーションの場として重要な存在です。そこで新たな客層として若年層を取り込むことを主目的とし、まずは銭湯を知らない若年層に知ってもらい、銭湯の価値を体験してもらい、通ってもらうことが重要だと考えました。

新たな客層である若年層が銭湯に通うことで、地域のコミュニティの活性化が叶い、更には銭湯の収益性の向上や、後継者の採用や設備投資の機会を増やすことにつながると考えました。

そこでまずは銭湯を知らない若年層や銭湯好きに向けて銭湯の情報をオンライン上で発信するウェブメディアという形でサイト企画を立ち上げ、サイトから記事コンテンツを発信する必要がありました。

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プロセス

1. コンセプトの策定とデザイン

一般的には「古い」という先入観で見られている銭湯ですが、「WE WILL ALWAYS YOU NEW SENTO.(私たちは銭湯を新しくしていく)」というコンセプトのもと、サイトのデザインはパステルピンクやエメラルドグリーンなどのパステルカラーを採用し、タイトルの「東京銭湯」もローマ字で「TOKYO SENTO」と表記することで「古い」印象を払拭する観点でデザインをしていきました。

若年層が持っていた「レトロ=可愛い」という価値観も取り入れて、全体として「渋い」というよりも「可愛らしい」デザインを採用し、若者層の関心を引きつけることを目指しました。

2. コンテンツの企画と制作

銭湯の若者層に向けた企画の始めの観点として「銭湯を知らない若者もいる」という仮説から組み立ていきました。そのため、銭湯の内観を写真で掲載したり設備や特徴について紹介するなど、各銭湯に取材することで多くの記事を作っていく必要がありました。

それに加えて、初めて行く銭湯で発生する入浴マナーに関しても周知する必要があり、銭湯マナーに関する記事の発信なども企画しました。

さらに、銭湯の価値はお風呂だけではない、という点の訴求も必要だと感じ、レトロで可愛い内観を訴求するためのアイドルフォトコンテンツや、コミュニティの場としての銭湯の活用方法が様々あるという認知を広げるために企業とのタイアップイベントの制作・発信など、多様なコンテンツを世の中に広めることを考えました。

これにより、銭湯の魅力や文化をオンラインで広く紹介し、若者層や世の中に対して銭湯の新たな体験と共感を提供していくことを軸に企画を立てていきました。

3. ウェブメディアの実装と運用

ウェブメディアとして記事を多く発信する特性からCMSはWordpressを採用し、若年層を意識したスマホファーストなデザインと実装をしました。実装後は定期的な更新とコンテンツの最適化を行い、また、若年層からなる銭湯コミュニティを形成し、スタートアップながら数十人規模での体制を作り、運用をしていきました。

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アウトプット

今までにない銭湯のサイトとして2015年4月に「東京銭湯 – TOKYO SENTO – 」を公開

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成果

「東京銭湯 – TOKYO SENTO – 」の企画・開発・運用により、以下の成果が得られました。主にウェブメディアとしての発信で銭湯の社会への認知を広め、その後の銭湯業界の盛り上がりの一助を担いました。

1. 銭湯の魅力の発信による認知の拡大

「東京銭湯 – TOKYO SENTO – 」は銭湯の魅力を多角的に伝えるウェブメディアとなり、銭湯の取材記事や写真コンテンツを通じて、銭湯愛好者だけでなく、若者層にも銭湯文化への関心を喚起しました。

2. 銭湯の利用促進と新たな顧客層の獲得

「東京銭湯 – TOKYO SENTO – 」の情報発信により、銭湯に対する関心が進み、特に若者層の関心を集めたことで、新たな顧客層の獲得につながりました。若者は銭湯の魅力やレトロな雰囲気に惹かれ、サードプレイスとしての利用が広まり、ギャラリー・飲食スペース・コワーキングスペースなど、今までになかった付帯設備を付ける銭湯が増えたり、番頭や地域の人とつながる場として認知するお客さまも増えました。

3. 銭湯コミュニティの活性化

「東京銭湯 – TOKYO SENTO – 」は銭湯が地域のコミュニケーションの場としての認知を広める役割も果たしました。大手企業などとのタイアップイベントを通じて、地元住民との交流の場をイベントを開催することで形成し、それを記事として発信することで活性化に寄与しました。

4. 広告媒体やイベントスペースとしての活用を促進

「東京銭湯 – TOKYO SENTO – 」は銭湯を広告媒体やイベントスペースとして活用する新たなビジネスモデルを発信しました。企業とのタイアップイベントやPR記事の発信により、銭湯は企業とのコラボレーションによる新たな収益化を実現し、これにより銭湯の収益構造やPR方法が多様化しました。

5. 実際に銭湯を運営することでリクルーティングに寄与

「東京銭湯 – TOKYO SENTO – 」では2016年から川口市の「喜楽湯」を運営し、若者層を中心とした銭湯運営を行うことで「銭湯で若者が働ける」という認知を広げました。銭湯で働きたい若者の増加により、新しい労働力が増え、若者が銭湯経営に参画する機会が増えました。

6. グッドデザイン賞、A Design Awardなどのソーシャルデザイン部門で受賞

「東京銭湯 – TOKYO SENTO – 」の活動はソーシャルデザインの観点で評価され、グッドデザイン賞や、イタリアのA Design Awardではシルバーを受賞し、高い評価を受けました。

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用いたデザインメソッド

DATA WALL -情報壁面-

VISION & MISSION -目的共有-

VISUALIZATION -図解作成-

REAL EXPERIENCE -現実体験-

INTERVIEW & ENQUETE -質問調査-

OBSERVATION -行動観察-

ORIGINAL FRAME -縦横自作-

CLUSTERING -情報分類-

INSIGHT -理由分解-

PROTOTYPING -試作体験-

DESIGN PITCH -提案研磨-

STORY -物語作成-

CONCEPT SHEET -意図記述-

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チーム

  • Client
    株式会社東京銭湯
  • Direction
    日野 祥太郎(DSCL Inc.)
  • Art Direction
    日野 祥太郎(DSCL Inc.)
  • Design
    日野 祥太郎(DSCL Inc.)
  • Technical Direction
    小島 準矢(DSCL Inc.)
  • Front-end Development
    小島 準矢(DSCL Inc.)