採用サイトUI/UX設計|応募率を高める情報設計とUI改善
目次
- 候補者インサイトの把握|「なぜ応募されないか」を知るところから
- 原因1 候補者が知りたい情報がない・見つからない
- 原因2 スマホでの閲覧・応募体験が悪い
- 原因3 企業の魅力が伝わらない・他社と差別化できていない
- 候補者ペルソナに基づく情報設計|デスケルメソッドカード活用法
- 候補者インサイトの活用(採用ターゲットの明確化)
- 情報の優先順位設定(ワークショップで合意をつくる)
- サイト構成とナビゲーション設計
- UI改善のポイント|レスポンシブ・読みやすさ・応募フォーム
- レスポンシブデザイン(スマホ最適化)
- 読みやすさ・使いやすさの向上
- 応募フォームの最適化
- コンテンツ戦略|社員の声と企業文化の可視化
- 社員インタビュー・ストーリー
- 働く環境・企業文化の可視化
- 数値・データによる信頼性向上
- 効果測定と継続的改善|データドリブンな改善サイクル
- KPI設定と効果測定
- 継続的改善サイクル
- 候補者フィードバックの活用
- 採用ブランディング・採用広報との連携|一貫した体験設計
- メッセージ統一の重要性
- 採用サイトと採用広報の連携設計
- 連携効果の測定と改善サイクル
- まとめ
「採用サイトを作ったのに、応募が来ない」。採用担当の方からいちばんよく聞く悩みです。
リニューアルに予算をかけた。デザインもきれいになった。でも数字が変わらない。その原因のほとんどは、 見た目ではなく、候補者の動線と情報設計の問題 です。
採用サイトのUI/UXとは、候補者がページを開いてから応募ボタンを押すまでの体験全体のことです。どの情報がどの順番で目に入るか、スマホで迷わず応募できるか、「自分に合う会社かも」と感じるコンテンツがあるか。これらすべてが、応募率に直結します。この記事では、パーソルキャリア「doda Recruiters」や遠東石塚グリーンペットの実際のプロジェクトをもとに、採用サイトの情報設計とUI改善の進め方を解説します。読み終わる頃には、応募率を動かす改善の優先順位が見えるはずです。

候補者インサイトの把握|「なぜ応募されないか」を知るところから
「採用サイトのどこを改善すればいいかわからない」。改善着手前に最もよく聞く悩みで、方向が見えないのは、候補者が何を感じているかを把握していないからです。
まず確認したいのは、「候補者が知りたい情報があるか」「スマホで迷わず応募できるか」「自社の魅力が伝わっているか」の3点です。この3つのどこに問題があるかを特定することが、改善の出発点になります。
原因1 候補者が知りたい情報がない・見つからない
採用サイトでよくある問題が、「会社が発信したい情報」と「候補者が知りたい情報」のズレです。待遇・制度・代表メッセージは揃っているのに、「実際の仕事内容」「チームの雰囲気」「入社後のキャリアパス」が見当たらない。すると候補者は必要な情報を探しきれず離脱してしまいます。
DSCL事例|パーソルキャリア:「doda Recruiters」のUI/UXを工程ごとに分担して刷新
転職サービスdodaの会員データベースに企業が直接アクセスしスカウトメールを送れるサービス「doda Recruiters」のUI/UX刷新を支援しました。サービス全体のUI/UX刷新、スマートフォン表示対応、新機能追加。この3つを同時に進めるという、大がかりなプロジェクトです。
最初に全体像を押さえるために使ったのは「手書きワイヤー」。スピーディに全体構造を見渡せる状態をつくったうえで、デザイナーを工程ごとに分担して効率的に制作を進めました。「情報はある、でも見つけられない」という状態を整理し直すアプローチは、採用サイトにもそのまま応用できます。
デスケルメソッドカードとは?
デスケルが現場のワークショップで使っている、思考と対話を進めるためのカード集です。リサーチ・発想・合意形成など、プロジェクトの場面ごとに使い分けるツールで、参加者が同じ言葉と手順で議論できるようにします。本記事では、採用サイトの設計・改善プロセスで実際に使うカードを順に紹介していきます。デスケルメソッドカード一覧はこちら
🃏 デスケルメソッドカード:INTERVIEW & ENQUETE -質問調査-
候補者や内定者へのインタビューは、「自社サイトで何が見つからなかったか」を知る最短ルートです。「INTERVIEW & ENQUETE」を活用して、応募前・選考中の候補者が感じた疑問や不満を直接集めると、改善すべきページや情報が具体的に見えてきます。
原因2 スマホでの閲覧・応募体験が悪い
現在、求職者の多くがスマホで採用サイトを閲覧しています。PCで見ると問題ないのに、スマホでは文字が小さい・ボタンが押しにくい・応募フォームが長すぎて途中でやめてしまう。こういったことが積み重なって、応募に至らないケースが少なくありません。
DSCL事例|遠東石塚グリーンペット:取引先向けサイトを求職者にも届くサイトへ
日本最大手のリサイクルPETボトル工場・遠東石塚グリーンペット株式会社では、工場増設に伴う採用強化を目的にコーポレートサイトをリニューアル。もともと取引先向けに作られていたサイトを、求職者にも訴求できるサイトへ再設計しました。
情報は「WHY-HOW-WHAT」のフレームワークで整理し、「Advanced・Proud・Clear」の3つのコンセプトでデザイン。スマホを含めた閲覧環境でも読み進められる構成にすることで、リニューアル後には人材紹介会社から「求職者の反応が良くなった」という声が寄せられました。
🃏 デスケルメソッドカード:OBSERVATION -行動観察-
候補者が実際にスマホでサイトを操作している様子を観察すると、「ここで詰まる」「このボタン見えてない」という気づきが次々と出てきます。「OBSERVATION」は、テストユーザーの行動を記録・分析する場面で活用できます。
原因3 企業の魅力が伝わらない・他社と差別化できていない
制度・福利厚生・給与レンジ。どれも候補者には不可欠な情報ですが、競合他社も同じような内容を掲載しています。「なぜこの会社でなければならないのか」が伝わらないと、候補者は比較検討のなかで自社を選ぶ理由を見失います。
人事担当者 「応募は来るんですが、面接してみると思っていた人と違うことが多くて……」 デスケル 「サイトに書いてある内容と、実際に働いている人たちの話はどれくらい一致していますか?」 人事担当者 「……確かに、現場の話はほとんど載せていないかもしれません」 デスケル 「そこが出発点です。応募の質を上げるためには、まず現場のリアルを見せることです」
候補者ペルソナに基づく情報設計|デスケルメソッドカード活用法
「どの情報をどの順番で見せればいいかわからない」。情報設計で最初にぶつかる壁ですが、優先順位を決めるとき陥りがちなのが「会社の論理」で並べてしまうことです。候補者の行動パターンから逆算して設計することが、ここでの鍵になります。
候補者インサイトの活用(採用ターゲットの明確化)
「優秀な人材が欲しい」。多くの採用担当者が口にする言葉ですが、「優秀」の定義が人によってバラバラなことがよくあります。採用ペルソナが曖昧なまま情報設計をすると、誰にも刺さらないコンテンツができあがります。
🃏 デスケルメソッドカード:JOURNEY MAP -体験地図-
候補者が求人を知り、サイトを閲覧し、応募を決意するまでの「体験の地図」を描きます。「JOURNEY MAP」を使うことで、「どのタイミングで何を感じ、何が不安で、何が後押しになるか」が整理でき、各ページで見せるべき情報が自然と決まってきます。
採用ペルソナの作り方は採用におけるペルソナの作り方と活用の記事で詳しく解説しています。
情報の優先順位設定(ワークショップで合意をつくる)
採用サイトの情報設計で難しいのは、「人事・経営・現場」それぞれが「これを伝えたい」と思っている情報が違うことです。整理しないまま進めると、情報過多で候補者が疲れるサイトになります。
🃏 デスケルメソッドカード:CLUSTERING -情報分類-
🃏 デスケルメソッドカード:DEFINE KEYWORD -言葉定義-
人事責任者 「候補者が一番知りたいのって、やっぱり給与・待遇ですよね?」 現場マネージャー 「うちに来る人は仕事の面白さで選んでる気がしますよ。チームの雰囲気とかプロジェクトの話の方が刺さると思います」 経営者 「そうか、ミッションが伝わるかどうかが一番大事じゃないかな」 デスケル 「では一度、候補者の立場に立って並べ直してみましょう。実際にインタビューした候補者の声も使いながら」
「CLUSTERING」で情報を種類別に分類し、「DEFINE KEYWORD」で各情報に使う言葉の意味を揃えていきます。関係者が同じテーブルで議論することで、「候補者目線の優先順位」に合意形成が生まれます。
サイト構成とナビゲーション設計
候補者の行動フローに合わせてサイト構成を設計することで、「知りたい情報に自然に辿り着ける」体験が生まれます。

UI改善のポイント|レスポンシブ・読みやすさ・応募フォーム
「サイトは作ったけど使いにくいと言われる」。現場でよく聞く声で、UI改善は細かい積み重ねの仕事です。「どこで離脱しているか」をデータで見ながら、一つひとつ潰していきます。
レスポンシブデザイン(スマホ最適化)
スマホ最適化のチェックは、「自分のスマホで実際に操作してみる」ことが一番早いです。文字のサイズ・ボタンの押しやすさ・横スクロールが発生していないか。PCで作っているとスマホ表示の問題に気づきにくいため、意図的に確認する習慣が必要です。
🃏 デスケルメソッドカード:DESKTOP RESEARCH -二次情報-
Googleアナリティクスなどのアクセスデータを見ると、「スマホとPCでどこで離脱しているか」が数値で把握できます。「DESKTOP RESEARCH」でデータを読み解き、どのページ・どのデバイスで問題が起きているかを特定するところから改善ははじまります。
読みやすさ・使いやすさの向上
採用サイトは「じっくり読ませる」設計よりも、「スキャンしながら必要な情報を取り出せる」設計が向いています。候補者は複数のサイトを並行して見ており、1ページに長い文章が並んでいると読まれません。
応募フォームの最適化
「サイトを読んで応募しようと思ったのに、フォームが長くて途中でやめた」。候補者からよく聞く声で、採用サイトのUI改善でもっとも効果が出やすいのが応募フォームです。
「なぜ途中でやめたのか」を深掘りすることで、フォームのどの項目が離脱を引き起こしているかが見えてきます。「INSIGHT」を使って離脱理由を分解すると、「この項目は選考後でいい」「ここの文言が不安を与えている」といった具体的な改善点が見えてきます。まず入力項目を最低限に絞り、応募のハードルを下げることが先決です。
採用担当者 「フォームで離脱している人が多いみたいで……」 デスケル 「フォームの項目数はいくつありますか?」 採用担当者 「20項目ほどあります。職歴や自己PRも書いてもらっています」 デスケル 「まず名前・連絡先・一言コメントの3項目にしてみましょう。詳しい情報は面接前に改めて聞く設計にする方が、応募数は増えます」
コンテンツ戦略|社員の声と企業文化の可視化
「どんなコンテンツを載せれば候補者に響くかわからない」。情報設計と並んで多い悩みですが、採用サイトのコンテンツで効果が出やすいのは「社員のリアルな声」と「企業文化の見える化」の2つに絞られます。
社員インタビュー・ストーリー
社員インタビューは、採用サイトのなかで候補者が最も時間をかけて読むコンテンツのひとつです。ポイントは「きれいな言葉で飾らない」こと。「この会社に来て良かった理由」より、「入社前に不安だったこと」や「仕事でつまずいた経験」の方が、候補者の共感を得やすくなります。
働く環境・企業文化の可視化
「うちの会社の文化って、言葉では説明しにくくて……」。そのまま諦めると、採用サイトはいつまでも他社と区別がつきません。言語化できない雰囲気は、写真・図解・エピソードで見せることができます。
🃏 デスケルメソッドカード:VISUALIZATION -図解作成-
🃏 デスケルメソッドカード:VALUE PROPOSITION CANVAS -独自価値-
数値・データによる信頼性向上
成長率・平均勤続年数・研修制度の実績・社員満足度など、裏づけのある数値は候補者の安心感につながります。「なんとなく良さそう」から「信頼できる」への一歩は、具体的なデータがあるかどうかで変わります。公開できる数字があれば、積極的に活用しましょう。
効果測定と継続的改善|データドリブンな改善サイクル
「改善したけど効果があったかわからない」。採用サイト改善で最もよくある失敗は、公開後に放置してしまうことです。採用サイトは「作って終わり」ではなく、「データを見ながら改善し続けるもの」と捉え直す必要があります。

KPI設定と効果測定
改善の効果を測るためには、取り組み前に「ベースライン」を設定しておくことが欠かせません。セッション数・ページ別滞在時間・応募開始率・応募完了率。どの数値を見るかを事前に決めておくことで、改善の方向が具体的になります。
継続的改善サイクル
🃏 デスケルメソッドカード:IMPACT & FEASIBILITY -発想評価-
「IMPACT & FEASIBILITY」を使って、改善候補を「効果の大きさ」×「実現のしやすさ」で整理すると、限られたリソースのなかで優先すべき施策が見えてきます。「LOG」で変更内容と結果を記録し続けることで、「このページを直したらここが改善された」という因果関係が蓄積されていきます。この積み重ねが、採用サイト改善の財産になります。
候補者フィードバックの活用
データだけでは見えない改善のヒントは、候補者から直接聞くのが一番です。面接・選考のプロセスで「サイトで何を見ましたか?」「探せなかった情報はありましたか?」と聞くだけで、次の改善に直結するインサイトが得られます。
面接担当者 「弊社のサイト、見ていただきましたか?」 候補者 「はい。仕事内容はわかったんですが、チームの人数とか雰囲気がわからなくて、少し不安でした」 面接担当者 (メモを取りながら)「ありがとうございます。それは改善のヒントになります」
採用ブランディング・採用広報との連携|一貫した体験設計
「採用サイトだけ改善しても全体の効果が出ない」。サイト単体で考えすぎているときに起きる典型的な現象です。採用サイトのUI/UXは、採用ブランディングと採用広報の一部として位置づけることで、はじめて本来の力を発揮します。
メッセージ統一の重要性
採用サイト・求人票・SNS・説明会。それぞれが同じ価値観・同じメッセージに基づいているとき、候補者はその「一貫性」から信頼感を得ます。逆に、サイトでは「チャレンジングな環境」と書いてあるのに説明会では「安定している職場」と伝えると、候補者は混乱します。同じ会社のはずなのに発信主体ごとに別物に見える状態は、応募の手前で離脱を生む大きな要因です。
採用サイトと採用広報の連携設計
採用サイトのすべてのコンテンツが「同じ1つのストーリー」から生まれているかどうかを確認します。「STORY」を使って「自社で働くとはどういう体験か」を一本の物語として整理しておくと、採用サイト・SNS・選考体験を通じたメッセージの統一が自然にできるようになります。
採用サイトのUI/UX改善は、採用ブランディングの戦略が土台にあってはじめて機能します。「誰に・何を伝えるか」の議論を先に行い、そこから情報設計・コンテンツ・デザインを組み立てる。「なぜこの情報をここに置くのか」の答えが、採用ブランディングの設計から自然に出てくる状態が理想です。
デザイナー 「採用サイトのトップ、どんな雰囲気にしますか?」 人事担当者 「……かっこいい感じで、モダンな感じで」 デスケル 「候補者に一番最初に伝えたいことは何ですか?それが決まると、デザインの方向も自然に決まります」 人事担当者 「確かに、そこから考えていなかったかもしれません」
採用広報のコンテンツ設計は採用広報テンプレートで具体例を紹介しています。
連携効果の測定と改善サイクル
採用サイト単体のKPIだけでなく、採用広報全体での効果を見る指標を用意しておくと、施策の良し悪しが正しく判断できます。サイト経由・SNS経由・社員紹介経由といった流入別に応募の質と数を比較すると、どの接点が機能しているかが浮かび上がります。連携施策は、定期的な振り返りで「サイトの変更がSNS発信や面接の流れにも反映されているか」を確認することで、整合性を保ちながら改善し続けられます。
まとめ
採用サイトのUI/UXは、デザインの問題ではなく体験設計の問題です。応募率が上がるサイトに共通する要素があります。
- ✓ 候補者が知りたい順に情報を並べる :会社の論理ではなく、候補者の行動フローに合わせた情報設計
- ✓ スマホで迷わず応募できる :レスポンシブ対応と応募フォームの最低限化
- ✓ 社員のリアルな声で差別化する :きれいな言葉より、ありのままの体験談が候補者の心を動かす
- ✓ データを見ながら継続的に改善する :公開後がスタート。KPIを設定し、改善サイクルを回し続ける
- ✓ 採用ブランディングと一体で設計する :サイト単体ではなく、採用体験全体の一部として位置づける
「サイトはあるけど応募が来ない」「どこから改善すればいいかわからない」。そこからでも、ぜひご相談ください。
「採用サイトのどこを改善すればいいかわからない」「応募の質を上げたいが何から手をつければよいか」。そんなお悩みから、お気軽にご相談ください。