DSCL website

DSCL Blog

UI/UXやブランディングのデザインナレッジをお届け

おばけ
理論と考察

採用広報テンプレート|SNS・自社メディアの運用設計と発信の型

採用広報テンプレート|SNS・自社メディアの運用設計と発信の型

「採用広報を始めたいんですが、何を発信すればいいかわからなくて……」。採用担当の方からよく聞く悩みです。

とりあえずSNSを開設したけどネタが続かない。投稿してみたけど反応がない。効果があるのかどうかもわからない。採用広報が続かない原因のほとんどは、 発信の型がない ことにあります。

採用広報とは、企業の魅力や文化を継続的に発信して、候補者との関係性を築く活動です。求人広告が「今すぐ応募してほしい人に届ける」ものとすれば、採用広報は「いつか応募したいと思う人を育てる」ものです。この記事では、実際のプロジェクトで使っているコンテンツの型と、続けるための仕組みを解説します。読み終わる頃には、明日から発信をはじめるための型と運用設計が手元に揃っているはずです。


採用広報とは?求人広告との違いと期待できる効果

「採用広報って求人広告と何が違うの?」。採用広報をはじめようとする方が、最初に立ち止まる問いです。一言で整理すると、求人広告は「今、応募してほしい人」に届けるもの、採用広報は「いつか応募したい人」を中長期で育てるものです。両者は競合せず、補完し合います。

違いを誤解したまま採用広報をはじめると、求人広告と同じ「条件・待遇」を発信してしまい、効果が出ません。採用広報で扱うのは、企業文化・社員の声・仕事のリアルといった「数字で比較しにくい価値」です。この前提を揃えるところから、設計をはじめます。

求人広告と採用広報の違い

期待できる効果は、即時の応募数というより「応募の質」と「採用単価の中長期的な低下」です。コンテンツが資産として積み上がるほど、検索や紹介から自然に候補者が集まる状態に近づきます。


採用広報で発信すべき5つのコンテンツ|候補者に響く型

「何を発信すれば候補者に響くかわからない」。採用広報をはじめて最初にぶつかる壁です。コンテンツの種類は無限にあるように見えますが、実際に候補者の行動につながるコンテンツには、いくつかの共通する型があります。

① 社員インタビュー・ストーリー

採用コンテンツのなかで候補者が最も熱心に読むのが、社員の声です。ポイントは「きれいに整えすぎない」こと。「入社してよかったこと」よりも「入社前に不安だったこと」や「仕事でつまずいた経験」の方が、候補者の共感と信頼を得やすくなります。

DSCL事例|アド・ソアー:社員の声から「風通しの良さ」と「人を大切にする姿勢」を言葉にする

大手メーカー開発部門への技術支援を展開するアド・ソアーの採用パンフレットリニューアルでは、人事部門だけでなく現場の技術者も巻き込んだヒアリングとワークショップを実施しました。そこから会社の魅力として言語化されたのが、「風通しの良さ」と「人を大切にする姿勢」という2つのキーワードです。

写真の力で社員の人となりをエモーショナルに伝えつつ、アンケートデータを添えて実感のある構成に。「制度と待遇の羅列」から「働くリアルの証言」へ。社員自身の言葉で語られたコンテンツは、候補者への伝わり方が根本的に変わります。

テンプレート1:社員インタビュー 質問項目の型

① 入社前のキャリアと、この会社を選んだ理由
② 入社前に不安だったこと・実際はどうだったか
③ 今の仕事で「一番やりがいを感じる瞬間」はいつか
④ 仕事で難しいと感じることと、どう乗り越えているか
⑤ これからやってみたいこと・目指しているキャリアイメージ
⑥ どんな人と一緒に働きたいか(応募者へのメッセージ)

② 働く環境・オフィス・チームの様子

候補者が「自分がそこで働いている姿」をイメージできるかどうかが、応募意思決定を左右します。言葉で説明しにくい雰囲気は、写真や動画で伝える方が早いです。

デスケルメソッドカードとは?

デスケルが現場のワークショップで使っている、思考と対話を進めるためのカード集です。リサーチ・発想・合意形成など、プロジェクトの場面ごとに使い分けるツールで、参加者が同じ言葉と手順で議論できるようにします。本記事では、採用広報のコンテンツ企画・運用で実際に使うカードを順に紹介していきます。デスケルメソッドカード一覧はこちら

🃏 デスケルメソッドカード:VISUALIZATION -図解作成-

「うちの雰囲気って一言では説明しにくくて……」。そういうときこそ「VISUALIZATION」の出番です。言語化できない文化や価値観も、図解・写真・動画・イラストで表現することで候補者に届きます。

テンプレート2:オフィス・チーム紹介 投稿フォーマット

📸 写真:チームの日常シーン(ミーティング・昼休み・作業風景)
✍️ キャプション構成:「どんな場面か」→「なぜこの雰囲気が生まれるか」→「チームのカルチャーとの接続」
💬 社員コメント:1人の一言を添える(整えすぎず、自然な言葉で)
🔗 ハッシュタグ:#会社名採用 #職種名 #働き方 など

③ 事業・プロジェクト紹介

「どんな仕事ができるのか」は、候補者が最も知りたいことのひとつです。事業の社会的意義や、プロジェクトの具体的なプロセスを伝えることで、志向性が合う候補者からの応募が増えます。

DSCL事例|三菱重工業:DXビジョン策定が新しい部門を生むまで

三菱重工業の社会インフラ事業におけるDXビジョン策定では、各部署へのインタビューとオンサイトでのデザインワークショップを通じて事業課題を可視化し、「リカーリング収益」「リノベーション事業」という2つの戦略方向性を導出。ビジュアルストーリーテリングで資料化していきました。

この取り組みは、のちに「成長推進室 デジタルエクスペリエンス推進グループ」という新しい部門の立ち上げにもつながっています。事業の大義や取り組みの背景を社員の声とともに発信することで、「この会社の仕事に関わりたい」と感じる候補者を惹きつける。採用広報としてのプロジェクト紹介は、スペックではなく「なぜこの仕事をするのか」の発信です。

テンプレート3:プロジェクト紹介 記事構成の型

① このプロジェクトが生まれた背景(課題・きっかけ)
② プロジェクトが社会・顧客に与えるインパクト
③ 関わった社員の役割と、それぞれの「この仕事の面白さ」
④ プロジェクトを通じて気づいたこと・変わったこと
⑤ 今後の展開・次に挑みたいこと

④ 企業文化・価値観の発信

「うちの会社らしさ」を言葉にして発信することが、カルチャーフィットした候補者を集める核になります。抽象的な理念をそのまま発信するのではなく、「この価値観が日常のどんな場面に現れているか」を具体的なエピソードで伝えることが大切です。

🃏 デスケルメソッドカード:VALUE PROPOSITION CANVAS -独自価値-

🃏 デスケルメソッドカード:STORY -物語作成-

人事担当者 「この価値観、うちらしいですね。こういうエピソードが実はいくつもあります」 デスケル 「それが採用広報の素材になります。理念の説明より、日常のエピソードの方が候補者に届きます」 現場リーダー 「こういう話、普段社内でも共有できてないですよね」 デスケル 「「STORY」でそれを物語として整理すると、SNSにも記事にもなります。一度作ると、いろんな場面で使えますよ」

テンプレート4:価値観発信 投稿テンプレート

① 発信する価値観・行動指針を1つ選ぶ(例:「お客様の課題と正面から向き合う」)
② その価値観が日常で現れた具体的なエピソードを1つ選ぶ
③ エピソードを「状況→行動→結果→気づき」の流れで200字程度で書く
④ 最後に「こういう価値観を大切にしている人と一緒に働きたい」と締める

⑤ 成長・キャリア支援の発信

「この会社に入ったら自分はどう成長できるのか」。特に20〜30代の候補者は、待遇と同じくらい「成長できるかどうか」を重視します。研修制度の説明より、「制度を使ってどう成長した社員がいるか」の体験談の方が響きます。

テンプレート5:キャリア・成長支援 発信テンプレート

① 制度や機会の紹介(研修・異動・副業など)
② 実際にその制度を活用した社員のビフォー・アフター
③ 会社がその制度に込めた思い・背景
④ 「こんな成長を一緒に目指したい人へ」というメッセージ

5つのコンテンツの型


SNS別の発信戦略とテンプレート|プラットフォームの特性を活かす

「どのSNSで何を発信すればいいかわからない」。プラットフォームごとに見ているユーザー層も、刺さるコンテンツも異なります。最初から全部やろうとするのではなく、ターゲット候補者がどこにいるかを起点に選ぶことが先決です。

X(旧Twitter)|日常の「小さな本音」が信頼をつくる

採用アカウントでのXの活用で効果が出やすいのは、「整えすぎていない日常のひとこと」です。広報っぽい文章より、担当者個人のリアルな声の方がエンゲージメントが高くなります。

テンプレート6:X(旧Twitter)投稿パターン集

【日常型】「今日のランチミーティング、気づいたら3時間語ってました。こういう時間が好きです #○○採用」
【発見型】「採用面接で気づいたこと。○○を大事にしている人ほど、○○の質問に目が輝く」
【問いかけ型】「転職を考えているみなさんへ。弊社に応募する前に、一度これを読んでほしいです→[リンク]」
【紹介型】「今日入社した○○さん、前職では○○。これからどんな化学反応が起きるか楽しみ」

Instagram|ビジュアルで「働く空気」を伝える

Instagramの強みは、写真と短尺動画で「言葉にならない雰囲気」を直感的に伝えられることです。フィード投稿で会社の世界観を、ストーリーズで日常の動きを、リールで臨場感のあるシーンを使い分けると、候補者の中に「働いている自分」のイメージが立ち上がってきます。

運用のコツは、「採用色を出しすぎない」こと。社員の何気ない働き方やオフィスの一コマ、プロジェクトの裏側といった等身大の日常が、結果的に採用への信頼につながります。

テンプレート7:Instagram投稿フォーマット

【フィード型】テーマ写真1枚 + 200〜400字キャプション(カルチャー紹介・社員の一日)
【ストーリーズ型】15秒×複数ショットで「ある一日」を時系列で再構成
【リール型】30〜60秒。ミーティング・現場・イベントなど動きのある場面を切り取る
【ハイライト保存】「社員紹介」「オフィス」「イベント」など常設テーマで蓄積し、プロフィールから辿れる状態に

LinkedIn|業界文脈と専門性で「いつか応募する人」に届ける

LinkedInは、即時の応募よりも「業界内の認知と信頼を中長期で蓄積する」場として機能します。投稿の主役は採用情報ではなく、社員や経営層が業界に対して持っている視点・考え方です。専門的な記事・知見を継続的に発信することで、業界経験者からの応募やリファラルが生まれやすくなります。

テンプレート8:LinkedIn記事構成

① 業界の「いま」に対する問題提起(200字)
② 自社が向き合っている課題と、その背景にある思想
③ プロジェクト・社員の取り組みを通じた具体例
④ 業界の今後への視点と、一緒に取り組みたい人へのメッセージ

note・ブログ|検索で見つかる「資産型コンテンツ」

SNSの投稿は流れていきますが、noteやブログは検索で長く見つかり続ける「資産」になります。社員インタビュー・事業紹介・価値観の言語化。1本しっかり書いた記事が、数ヶ月後も候補者の入口になります。

DSCL事例|遠東石塚グリーンペット:WHY-HOW-WHATで「なぜこの仕事か」を発信する

日本最大手のリサイクルPETボトル工場である同社では、工場増設に伴う採用強化を目的に、既存の取引先向けサイトを求職者にも訴求できるサイトへ再設計しました。情報は「WHY-HOW-WHAT」のフレームワークで整理し、「Advanced・Proud・Clear」の3つのコンセプトでデザインを構築しています。

リニューアル後、人材紹介会社からは「求職者の反応が良くなった」という声が寄せられました。「どんな人と働くか」「なぜこの仕事をするか」が丁寧に伝わる情報設計こそ、採用広報の資産形成です。「検索で見つかるコンテンツ」と「読んで共感されるコンテンツ」の両立が、中長期的な採用力につながります。

テンプレート9:採用広報ブログ記事 構成パターン

① タイトル:「○○な人へ。△△株式会社の□□という仕事について」(ターゲットを明示)
② 冒頭:候補者が抱えている悩み・問いから始める
③ 本文:社員の体験談 → 会社の価値観との接続 → 「こういう環境がある」という事実
④ 締め:「こんな人と一緒に働きたい」+応募リンク


デスケルメソッドカードを使ったコンテンツ企画|ネタが続く仕組みをつくる

「ネタが続かない」。採用広報を始めて3ヶ月で止まってしまう会社の多くが、この壁にぶつかります。原因は「アイデアが足りない」のではなく、「アイデアを出す仕組みがない」ことにあります。

コンテンツ企画ワークショップ

採用広報のネタは、社員の中に眠っています。人事担当者が1人で考えるのではなく、現場社員を巻き込んだワークショップで一気に引き出すのが効率的です。

🃏 デスケルメソッドカード:DATA WALL -情報壁面-

🃏 デスケルメソッドカード:CLUSTERING -情報分類-

人事担当者 「こんなにアイデアが出るとは思いませんでした」 現場社員 「これなら3ヶ月は発信できますね」 デスケル 「現場の声を活かせそうですね。「DATA WALL」に貼り出して「CLUSTERING」で分類すると、媒体別のコンテンツカレンダーまで一気に作れます」 マネージャー 「これ、半年に1回やれば採用広報が回りますね」

「DATA WALL」で社員が持つエピソード・価値観・日常の出来事を一面に可視化し、「CLUSTERING」でテーマ別・媒体別に分類します。2〜3時間のワークショップで、数ヶ月分のコンテンツアイデアが出そろいます。

年間コンテンツカレンダーの設計

採用広報を継続させるには、「思いついたら発信する」から「計画して発信する」への切り替えが必要です。年間の採用スケジュールに合わせて、発信テーマを事前に設計しておくと、担当者の負担が大幅に下がります。

テンプレート10:採用広報 年間コンテンツカレンダーの型

【4〜6月】新入社員の入社エピソード・研修の様子・チームビルディング
【7〜9月】夏インターン・事業の上半期振り返り・社員の成長ストーリー
【10〜12月】秋インターン・採用強化期・社員インタビュー集中発信
【1〜3月】内定者向けコンテンツ・来期ビジョン・チームの年間ハイライト
【通年】価値観エピソード・プロジェクト紹介・日常の一コマ

ネタ切れ対策とアイデア出し

カレンダーまで作っても、運用していると「予定はあるが具体のネタがない」状態は必ず訪れます。担当者個人の発想に依存する設計だと、忙しさに比例して採用広報が止まりやすくなります。

有効なのは、「ネタが社員から自然に集まる動線」を仕組みとして用意することです。例えば月1回のチーム会で「最近あった印象的な仕事の出来事」を5分共有してもらい、その場で広報担当がメモを取って素材化する、といった軽いやり方で十分です。社員から提供されたネタをきちんと記事化してフィードバックすると、次のネタが集まりやすくなる好循環が生まれます。

もう一つは、過去のコンテンツを「視点を変えて再活用する」発想です。社員インタビュー記事を切り出して短尺動画にする、価値観エピソードを連載化する、といった再編集で、ゼロから作るより少ない労力で発信を継続できます。


効果測定と改善方法|「発信して終わり」をやめる

「発信しているけど効果があるかわからない」。多くはKPIを設定していないことから起きる悩みです。測定すべき指標を事前に決めておくことで、「何が効いて、何が効いていないか」が見えてきます。

採用広報の効果測定と改善

採用広報のKPI設定

🃏 デスケルメソッドカード:INSIGHT -理由分解-

テンプレート11:採用広報 KPI管理シートの型

認知指標|フォロワー数・インプレッション数・記事PV エンゲージメント指標|いいね・コメント・シェア・滞在時間 転換指標|採用サイト流入数・エントリー数・コンテンツ経由の応募数 質的指標|「コンテンツを見た」と言った応募者の数・志望理由の解像度

「INSIGHT」で「なぜこのコンテンツはエンゲージメントが高いのか」「なぜこの投稿は読まれなかったのか」を深掘りすることで、次のコンテンツ改善に直結するインサイトが得られます。

分析・改善のポイント

数字を見る目的は、評価することではなく次の判断材料を得ることです。月次で振り返るときは「数値が伸びたコンテンツ」と「伸びなかったコンテンツ」をセットで並べ、その差がどこにあるかを言語化します。テーマ・媒体・発信タイミング・文体のいずれかに、再現可能なパターンが見えてくるはずです。

改善は「全部いい記事に直す」のではなく、「効いている型を増やし、効いていない型を減らす」と捉えるのがコツです。ある投稿パターンがエンゲージメントを生んでいるなら同じ型で次の月も発信し、反応の薄い型は思い切って数を減らす。やめる勇気が、続ける力を生みます。

継続的な運用体制

採用広報は、担当者1人で続けようとするとどこかで必ず止まります。人事・広報・現場・経営のいずれかの担当者が抜けるだけで運用が崩れる構造を、最初から避けておくことが大切です。

具体的には、ネタ出しは現場社員、文章化は広報、配信は人事、効果共有は月1の定例で経営も同席、といった役割分担を最初に決めておきます。「誰が何をいつまでに」が曖昧なまま走り出すと、3ヶ月後には熱量がある人だけに負荷が集中して止まる、というのがよくある失敗です。役割と頻度を仕組みに落としておくと、担当者が変わっても運用は続きます。


インナーブランディングとの連携|社内で合意されたメッセージを発信する

「採用広報でいい感じの発信をしているのに、実際に入社した人が『思っていた会社と違う』と言う」。発信しているメッセージと社内の実態がズレているときに起きる、典型的な現象です。

インナーブランディングと採用広報の関係性

採用広報のメッセージは、インナーブランディングで社内合意されたものから生まれるべきです。外向けのメッセージを先に作るのではなく、「自分たちの価値観は何か」を社員と一緒に言語化する作業が先です。

DSCL事例|アド・ソアー × 遠東石塚グリーンペット:共通する設計思想

アド・ソアーと遠東石塚グリーンペットの採用プロジェクトに共通しているのは、「発信内容を外から作らない」ことです。アド・ソアーではヒアリングとワークショップで「風通しの良さ」「人を大切にする姿勢」を社員から引き出し、遠東石塚では「WHY-HOW-WHAT」のフレームワークで情報を再設計。どちらも内側の言葉を起点に採用広報コンテンツを組み立てています。

インナーとアウターが一体になった発信は、候補者に「本物感」として伝わります。インナーブランディングの取り組みを採用広報と連携させることで、発信の一貫性と信頼性が高まります。

合意形成されたメッセージの採用広報への反映方法

🃏 デスケルメソッドカード:CONCEPT SHEET -意図記述-

採用広報の各コンテンツを作る前に、「何を・誰に・なぜ伝えるか」を1枚で整理する「CONCEPT SHEET」は、発信者が複数いる場合のメッセージのブレを防ぎます。人事・広報・現場が同じシートを参照することで、一貫した採用広報が実現します。

反映のコツは、インナーブランディングで決まった価値観の「言葉そのもの」をそのまま使いまわすことです。価値観のキーワードや、社内ワークショップで生まれた言い回しを採用広報のコピー・見出し・キャプションに織り込んでいくと、社内外で同じ語彙が流通する状態が生まれます。社員が読んだときに「自分たちの言葉だ」と感じられるかどうかが、定着のチェックポイントです。

広報担当者 「採用サイトとSNSで言ってることが微妙に違う気がして……」 デスケル 「「CONCEPT SHEET」で、そもそも何を伝えたいかを一枚整理してみましょう。そこから全部のコンテンツを設計すると、自然と揃ってきます」 人事担当者 「確かに、それがないまま媒体ごとに考えてました」

継続的な連携体制の構築

インナーブランディングと採用広報は、一度メッセージを揃えれば終わりではありません。事業フェーズや組織の変化に合わせて、社内の合意も発信内容も少しずつ更新していく必要があります。

運用上は、四半期に1回ほど「インナーブランディング担当」と「採用広報担当」が同席する場を設けると、ズレが大きくなる前に補正できます。社内ワークショップで新しく生まれた言葉や、現場で起きた変化を採用広報の素材として共有し、逆に採用広報の現場で見えた候補者の反応を社内に戻す。この双方向の循環が、内外で一貫したブランド体験を継続させます。

採用施策全体の上位戦略は、採用ブランディングの記事で詳しく解説しています。


採用広報でよくある失敗と対策|実際のプロジェクトで見えたパターン

「採用広報を始めたけどうまくいかない」。よくある失敗には、いくつかの共通パターンがあります。

失敗パターン1:自社目線すぎる発信

「弊社は○○が強みです」「業界トップクラスの○○」。自社の自慢が中心になると、候補者は「で、自分にとってどういいの?」と感じます。採用広報は「会社を売り込む場」ではなく、「候補者が自分を重ねられる場」を作ることです。

「VALUE PROPOSITION CANVAS」で、会社が提供できる価値と候補者が求めていることを重ねてみると、「何を発信すべきか」が見えてきます。

対策 :すべてのコンテンツに「候補者にとってのメリット」を入れる。発信前に「これを読んだ候補者はどう感じるか」を問う。

失敗パターン2:継続性がない(3ヶ月で止まる)

採用広報で最も多い失敗が、「はじめは頑張ったけど続かない」です。担当者1人に任せる・ネタを毎回考える・効果が見えない。この三重苦が重なると、更新が止まります。

🃏 デスケルメソッドカード:LOG -痕跡保存-

対策 :コンテンツカレンダーで3ヶ月分を事前設計する。「LOG」で発信記録と反応を残して、改善の実感を積み重ねる。社員を巻き込み、1人で抱えない体制を作る。

失敗パターン3:効果測定をしていない

「発信はしているけど、採用につながっているかわからない」。KPIがないまま発信を続けると、何をどう改善すればいいかが見えません。やめるべきものとやり続けるべきものが判断できず、疲弊して止まります。

🃏 デスケルメソッドカード:IMPACT & FEASIBILITY -発想評価-

対策 :月1回、数値を確認する時間を作る。「IMPACT & FEASIBILITY」で「続けるべきコンテンツ」「変えるべきコンテンツ」を定期的に整理する。


まとめ

採用広報は、「何か発信しなければ」という義務感ではなく、「自分たちの魅力を候補者に届けるための設計」として取り組むと、続けやすくなります。

  • 発信の「型」を持つ :社員インタビュー・職場紹介・プロジェクト・価値観・成長、この5つを軸にコンテンツを設計する
  • 媒体の特性を使い分ける :SNSは日常・リアル、noteは深掘り・資産、採用サイトは信頼・詳細と役割を分ける
  • ネタ出しは仕組みで解決する :ワークショップとカレンダーで、担当者1人が抱え込まない体制を作る
  • インナーブランディングと一体で設計する :社内で合意された価値観が発信の核になるとき、採用広報は本物になる
  • 測定と改善を回し続ける :発信した後のデータを見て、「続けるべき型」を積み重ねていく

「何を発信すればいいかわからない」「始めたけど続かない」。そのお悩みから、一緒に設計しましょう。

「採用広報の発信を始めたい」「続けられる仕組みを一緒に作りたい」。そんなお悩みから、お気軽にご相談ください。

著者情報

日野 祥太郎

SHOTARO HINO

日野 祥太郎

Creative Director

デザイン、店舗運営、メディア運営を横断するクリエイティブディレクター。強いグラフィック力と経営視点を武器に、CI設計から新規事業まで企業の魅力を最大化させます。

提供領域

  • ブランディング
  • CI設計
  • ディレクション
  • 事業開発
  • メディア運営