
損害保険ジャパン株式会社(以下、損保ジャパン)は、社会に安心・安全・健康を提供する企業として、多様な人材が活躍できる環境づくりを進めています。
社員の創造性や自主性を高め、「すべてをお客さまの立場で考える会社」の実現に向けた取組みの1つとして、DSCL Inc.のワークショップ型の研修を実施しました。
本研修では、「自分と他者が違うことを知り、観察の手法を学び、自分の仕事に活かす」をテーマとし、お客さまや同僚との関係性を築く際の「観察力」を養うことを目指しました。
当日は、関西エリアに勤務する社員34人が参加し、観察やアウトプットの手法を学びました。
課題背景
個人の創造性、自主性を引き出したい
損保ジャパンでは、社員の自主性や創造性を発揮できる環境づくりを目指しています。特に、お客さま対応の現場では「シナリオ通りの対応」だけでなく、創造性や自主性を発揮し、お客さまの要望をしっかり引き出す力が求められます。
さらに、「対話、承認、学び、DEI」へのカルチャー変革につながる、部署間の交流や社内のつながりを深める機会も求められていました。
こうした背景のもと、損保ジャパンは「個」のチカラを引き出し、自主的な行動を促すワークショップの導入を検討。DSCLの「楽しみながら学ぶ」ワークショップ型の研修アプローチとして、今回のプログラムが実施されることとなりました。
プロセス
本研修は、「自分と他者が違うことを知り、観察の手法を学び、自分の仕事に活かす」を大きく3つのステップに分け、アウトプットまでを楽しみながら行えるようグループワークを設計しました。
1. 他者と自分の違いに目を向ける


まず、グループ内のメンバーがそれぞれ異なる価値観や考え方を持っていることに気づくことを目的としたワークを行いました。
たとえば、「仕事のなかで、言われて嬉しかった言葉/悔しかった言葉」をテーマに、それぞれで紙に書き出し、グループで共有します。
このワークは、「結果だけでなく行動を見ていてくれる人がいることが大事」や「自分が頼られているという実感に価値を感じる」など、同じ職場の仲間でも、仕事への姿勢やお客さまとの接し方にも影響する価値観の違いがあることを実感するきっかけになりました。
2. 観察を体験する



次に、ある人物が日常的にスマホで撮ったたくさんの写真から、その人物のライフスタイルや価値観を妄想し、商材の売り文句を考えるワークを行いました。
たとえば、ある人物の写真には、小さな子どもがよく登場します。参加者はそこから、「きっと小さい子どもがいる4人家族だろう」「経験や体験にお金を使いそう」「1万円以上のものを買うときは、家族の承認を得る必要がありそう」など、様々な視点から妄想を膨らませました。
このワークは、相手の表面的な行動だけでなく、その背景にある価値観を想像することが、より良いコミュニケーションや提案につながることを体験してもらえるように設計しました。
3. 学びを自分の仕事に活かす


最後に、ワークを通じて得た気づきを、自分の仕事にどう活かせるかを整理し、アウトプットする時間を設けました。「観察のコツカード」を記入し、具体的なアクションプランを考えるワークです。「観察のコツカード」では、研修での学びを内省しながら、絵や図を用いてまとめることができます。
たとえば、ある参加者は、お客さまを観察することについて「選択は自己表現。その人がその商品を選択しているストーリーを考える。」という気づきを得ました。別の参加者は、「見えない部分も想像してみることが大事」と記入し、職場のコミュニケーションを改善する意識を持ちました。
このワークを通じて、研修での学びを自分の業務にどのように落とし込むか、実践につなげる具体案を考えることができました。
アウトプット

研修を通して34枚の「観察のコツカード」が完成し、参加者に共有されました。
成果

自らの視点で他者を知るコツを言語化
「観察のコツカード」のワークを通して、本研修を通して得た「情報集め」「分析」「コミュニケーション」に関する多くの気付きが言語化されました。
情報集めに関する気付き
- まずは色々な人の意見を聞く
- 何度も出てくるものに着目する
- 絵や図を通して情報を整理してキャッチする
分析に関する気付き
- なぜ知りたいのか、目的を考える
- 言葉の裏にある感情や価値観を考えてみる
- 選択は自己表現。その人がその商品を選択しているストーリーを考える
- 知り得た情報から、多くの仮説と対策を考える
コミュニケーションに関する気付き
- プライベートに関する会話もするため、まずは自分の話をしてみる
- 社内の人を知るために、その人の「今」を大事にする
- 意見や考えをストレートに表現しないキャラクターの人もいるため、相手が黙っているときこそ、心の声をフキダシで想像する
- その人の価値観や安心すること、逆に居心地の悪いことはなんだろうと考えてみる
用いたデザインメソッド
チーム
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Client損害保険ジャパン株式会社(関西総務部)
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Workshop Design大竹 沙織(DSCL Inc.)、村上 由朗(DSCL Inc.)
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Facilitation大竹 沙織(DSCL Inc.)、村上 由朗(DSCL Inc.)
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Photograph浜村 晴奈
(チームメンバーの所属などについては、プロジェクト当時のものです。)