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理論と考察

ブランド共創ワークショップ|価値を共に創る進め方

ブランド共創ワークショップ|価値を共に創る進め方

「ワークショップをやったのに、色々な意見が出ただけで終わってしまった。」——そんな声は珍しくありません。時間とエネルギーをかけても、アウトプットが実装に繋がらないことがあります。その理由の多くは、ワークショップの「設計」にあります。

目的が曖昧なまま進行すると、合意はその場限りになります。参加者の設計が偏ると、現場に浸透しません。アウトプットが議事録止まりだと、誰も動けません。これらは設計段階で解決できる問題です。

この記事では、ブランド共創ワークショップの設計から実装接続まで解説します。「ブランド共創ワークショップ」とは、「ブランドを定義」する段階で使うワークショップです。ブランドの存在意義や存在価値を固めるために開催します。

ブランド共創ワークショップの全体像

フェーズ内容
目的設定このワークショップで何を決めるかを明文化する
ワークの組み立て目的に合わせてワークを選び、組み合わせる
アウトプットビジュアル案・コピー案など具体的な形にする
実装接続担当・期限・ガバナンスをワークショップの場で決める

ワークショップ設計の基本(目的/参加者/制約)

ブランド共創ワークショップ設計の基本

目的:「このワークショップで決めること」を一文で固める

目的が曖昧なままワークショップを実施すると、議論がバラバラな方向に向かいます。最初に固めるべきは、「このワークショップで何を決めるか」という一文です。

「ブランドの方向性を議論する」では不十分です。「コアバリュー3つを選定し、翌月から使えるガイドラインを作る」まで絞ってください。この一文があるだけで、当日の議論の密度が変わります。

目的が明文化されると、招集すべき参加者も自然と決まります。「誰を呼ぶか」は設計段階で決める事項です。当日に決めようとすると、必要な人が欠けた状態でワークショップが進んでしまいます。

参加者:意思決定者・現場・ステークホルダーの3層で設計する

ワークショップの成否は、参加者の設計で大きく変わります。意思決定者・現場担当者・ステークホルダーの3層を意識してください。

意思決定者が不在だと、当日決まったことが後から覆ります。一方、意思決定者だけでは現場感のないアウトプットになります。3層のバランスが、使えるアウトプットを生みます。

制約:時間・予算・形式を先に決めておく

目的と参加者が固まったら、最後に「制約」を確認します。所要時間(半日で決めきるのか、複数回に分けるのか)、予算、オンラインか対面か——こうした条件が、当日のワークの粒度を左右します。制約を曖昧にしたままワークを盛り込みすぎると、どれも中途半端に終わります。「4時間で決めきる」と先に決めておけば、扱う論点とワーク数は自ずと絞られます。

事例:部署や部門をまたいだ「統合サービス開発プロジェクト」のチームビルディング支援(株式会社リコー)

株式会社リコー 統合サービス開発チームビルディング支援

リコーでは、部署をまたいだ統合サービス開発チームの認識統一が課題でした。企画・アナリスト・デザイナー・エンジニアなど9名のメンバーが関わっていました。同じプロジェクトにいながら、「サービスについての認識がバラバラになっている」という状況です。

デスケルが設計した4時間のワークショップでは、情報出し・整理・機能評価・マッピングの4ステップを実施しました。「シール評価で項目に順序が付き、全体像が立ち上がる感覚があった」という声が上がっています。「メンバーの考え方を理解する貴重な機会になった」という評価も得ています。

このワークショップ成功の背景には、「何を決めるか」の明文化と、3層参加者の設計があります。設計の質が、当日のアウトプットの質を決めます。


ワークの組み立て(目的別の進め方)

目的に合わせてワークを組み合わせる

ワークショップで行うワークは、「何を決めるか」という目的に応じて、組み合わせて設計します。

たとえば、価値の言語化・ペルソナづくり・カスタマージャーニーの可視化・コンセプト立案・体験プロトタイプなど。目的と使える時間に合わせて必要なワークを選び、当日の流れをつくります。

目的別のワークの組み合わせ例

目的ワークの組み合わせ例
価値を言語化する情報出し → グルーピング → コアバリュー言語化
ユーザー理解を深めるペルソナ設計 → カスタマージャーニーの可視化 → 課題特定
アイデアを絞り込むブレスト → 効果×実現性での評価 → コンセプト定義

よく使う3つの手法

ワークショップで使う代表的な手法

情報出し は、プロジェクトに関するあらゆる情報を壁面に貼り出し、チーム全員で共有する手法です。断片的な情報を可視化することで、現状の全体像を俯瞰し、共通認識を醸成します。物理的な「場」を作ることで、自然と対話が生まれます。ワークショップ序盤の「情報共有」フェーズに特に適しています。

グルーピング は、壁に出した情報をグループ化する手法です。膨大な情報を類似性や関連性に基づいて整理します。「情緒的・状況的要素を組み合わせた名詞や文節」でグループ名をつけると、新しい軸や関係性が生まれます。混沌とした状況から意味のあるパターンを見つけ出せます。

効果×実現性での評価 は、アイデアを「効果の大きさ」と「実現可能性」の二軸で評価・整理する手法です。アイデアをマッピングすることで、チーム全体の優先度が視覚化されます。発散したアイデアを絞り込む後半ステップで効果を発揮します。限られたリソースの中で、どこから着手すべきかが明確になります。


アウトプットと実装への接続

「議事録」で終わらせず、具体的な形にする

ワークショップで合意した内容を「議事録」だけに残すと、実装に繋がりにくくなります。大切なのは、合意した方向性を「具体的なアウトプットを想像できる形」に変えていくことです。

「何を・誰に届けるか」という方向性が合意できたら、それをビジュアルの案やコピーの案といった具体的なアウトプットに落とし込みます。抽象的な言葉のままでは、現場は動けません。実際の画面・誌面の案や、キーとなる言葉の候補を見ながら「このトーンで」「この言葉で」と確かめることで、合意がそのまま制作物へとつながっていきます。

案を作りながら、一緒に実行する

実装は、合意したものを別のチームへきれいに引き渡して終わり、という形にはなりません。合意した方向性を土台に、デスケルが伴走しながら具体案を次々と形にしていきます。立ち止まって調整を繰り返すのではなく、合意を起点に一気に具体化を進めることで、最初の方向性がぶれないまま運用フェーズまでつながっていきます。

事例:日本のメディア文化を支えるために。放送文化基金ウェブサイトリニューアル(公益財団法人 放送文化基金)

放送文化基金 ウェブサイトリニューアル

公益財団法人 放送文化基金のウェブサイトリニューアルでは、基金賞・助成・フォーラムといった各事業のコンテンツが散在し、「組織として何を・誰に届けたいのか」が曖昧になっていました。デスケルは、会議室の壁一面を使った付箋ワークショップと、各担当者への深掘りヒアリング(週1〜2回・各2〜3時間)を重ね、それぞれの事業が持つ想いを言語化。「良質なコンテンツづくりの継承」と「時代に合わせた放送文化の発展支援」という2つの役割、そして「業界人」「一般視聴者」というターゲットを整理し、“誰に何を届けるか”というブランドの軸を組織全体で合意しました。

合意したブランドの軸を実装の土台にする

ここで重要なのは、ワークショップの成果を議論で終わらせず、そのまま実装の土台にした点です。合意したブランドの軸をもとに、ウェブサイトの情報設計・デザイン・CMS構築が進められました。担当者からは「“誰に何を届けたいか”を改めて言語化でき、今後の広報活動全体の基盤になった」という声が生まれ、さらに「職員が自分たちで更新できるようになり、『もっと社会に共有したい』という気持ちが自然に高まった」と、運用の自走にもつながっています。

合意したアウトプットを「実装と運用の土台」として引き継いだからこそ、ワークショップは一過性で終わらず、組織の発信力そのものを底上げする結果になりました。

共創ワークショップは、単発のイベントでは効きません。ワークショップ前の合意形成設計から、ワークショップ後の実装フォローまで、前後工程とセットで機能します。デスケルがブランド開発 伴走支援でカバーするのも、この一連の流れです。


まとめ

ブランド共創ワークショップを成功させるには、設計・ワークの組み立て・アウトプット・実装接続の4つをセットで考えることが重要です。

うまくいく共創ワークショップの共通点

  1. 「このワークショップで決めること」が一文で言える :目的が明確だから、議論がぶれません
  2. アウトプットが具体的な形(ビジュアル案・コピー案)になっている :議事録で終わらず、そのまま実行に移せます
  3. 合意を伴走しながら形にしている :共創は前後工程とセットで効きます

ワークショップの設計でお悩みの方は、ぜひデスケルにご相談ください。目的設定からファシリテーション・実装接続まで、一貫してサポートします。

著者情報

大竹 沙織

SAORI OTAKE

大竹 沙織

Facilitator

多摩美大卒。本質を突く洞察力と高い言語化能力を武器に、複雑な課題を解きほぐすファシリテーションの達人です。抜群の安心感で場をリードし、対話から生まれた要点を図解やグラフィックで鮮やかに可視化。停滞した現場を動かし、納得の解決策へと導きます。

提供領域

  • リサーチ・分析
  • ワークショップ
  • 研修