社員一人ひとりが創造性を発揮するための「妄想力を高める観察ワークショップ」を実施

社員一人ひとりが創造性を発揮するための「妄想力を高める観察ワークショップ」を実施

マニュライフ生命保険株式会社

「お客さまのニーズを第一に考え、的確なアドバイスと解決策をもって、お客さまがご自身の夢や希望を実現するお手伝いをします。」を目的とする『マニュライフ生命保険株式会社』の社員に向けて、創造的な観察術を学ぶ研修を実践。この研修には、部署を超えた社員約30名が参加しました。

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課題背景

社員の創造性が充分に発揮されていないことによる、業務の固定化

『マニュライフ生命保険株式会社』は「カスタマー・セントリシティ(顧客中心主義)」を推進しています。これは、顧客の声を聞き、顧客ニーズにあった価値あるサービスを提案する姿勢を指します。今回の研修は、この「カスタマー・セントリシティ」に向けた取り組みのひとつとして実践しました。

研修の開催にあたり、マネージャー陣から下記のような要望があがりました。

・お客様の生の声を聞くことの必要性に気づいてほしい
・固定化してしまいがちな業務のやり方を変えるきっかけがほしい

ヒアリングを通して分かったことは、社員一人ひとりの創造性が充分に発揮されておらず、自分自身で感じたことを業務に活かしづらいということ。つまり、社員の創造性が充分に発揮されていないことによる、業務の固定化という課題でした。
そこで、顧客ニーズに合わせて提案をするような創造的思考法を学ぶ研修が必要でした。

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コンセプト

顧客の声の探し方、聞き方、見え方を学び、自分の仕事に活かす

自分の観察力を高め、現場で顧客の内なる声を探し、理想の顧客の姿を妄想(想像)するスキルは「カスタマー・セントリシティ」の実現に不可欠です。

今回は、観察力と妄想力を高める学びの場として、デンマークのデザイン思考のひとつ「6C model(cf. DESIGN SCHOOL KOLDING, 2014)」のうちの「Collect(集める)」に焦点を当て、創造的な観察術を高める3時間の研修プログラムの設計しました。

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プロセス

創造的な観察術を学ぶ。その学びを仕事に活かす。

今回の研修は、大きく二つのテーマで構成されています。
一つは、顧客の声の探し方、聞き方、伝え方を学ぶこと、もう一つは学んだことを自分の仕事に繋げることです。

まず、この研修は自分と他人が異なる存在だということを起点にスタートします。
この前提は、相手を理解するための、コミュニケーションの意味と価値を理解する土台となります。そこから、相手がどんなタイプの人なのかを探求するための観察方法や共有方法のひとつとして、デザイン思考の手法「観察」を学びます。
最後に、自分の仕事に活かすための「行為の省察カード[仕事の知恵カード]」をつくることで、外から得たヒントを自分の仕事と繋げる手法を学びます。

1.顧客の声の探し方、聞き方、伝え方を学ぶ

1-1|他人と自分の違いを知ろう

この研修の前提は、顧客と一言に言っても人によって状況が違い、求めていることが違うということです。そのため、相手を観察して、合ったやり方を予想する必要があるのです。

1-2|写真から人物像を妄想しよう

相手の言ったことをに注目するインタビューに対し、観察では相手の表現したことに注目します。その人の手が加えられ表現されているところに、想いや人格が表出するのです。
表現したこととは絵などの造形物だけでなく、例えば、部屋に貼られた写真やぬいぐるみ、置いてある家電、さらにその置き方なども含まれます。

今回の研修では、ある人物の部屋を映した写真を見て、そこに住むのがどんな人物なのかを推測してもらいました。

1-3|製品を提案するためのセールストークを考えよう

前半の最後には、その部屋に住む人物に対して、特定の製品をおすすめする際のセールストークを考えてもらいました。

2.学んだことを自分の仕事に繋げる

2-1|行為の省察カード「仕事の知恵カード」をつくろう

「行為の省察カード」とは、学んだことを振り返り、形式知化したカードです。今回は、学んだことを仕事に活かせる形にするために、「仕事の知恵カード」として、一人ずつカードをつくってもらいました。
形のなかった知識に絵や文章などの形が与えられることで、学んだことを表出させ、自分の知識になります。

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成果

「参加者が楽しそうに自分の仕事と学びの活用法を語り合う姿を見て、会社の未来に希望がもてました。」

初めは堅い研修モード、仕事モードだった参加者も、人物像を想像するワークで一気に創造モードのスイッチが入りました。
ファシリテーターの問いかけやお手本によって、参加者の発話は日常会話の雰囲気に近づき、雑談のようにユーモアを含んだ発言に変わっていきました。

雑談ができるような雰囲気は、参加者の眠っていた創造性を発揮させ、表層の観察から一歩も二歩も踏み込んで想像することに役立ちます。

研修後、参加者にアンケートを実施したところ、下記のようなコメントがありました。

  • お客様と直接会話する機会はありませんが、カスタマーセンターを通してお客様に素早い回答ができるよう、カスタマーセンターに対してのデザインシンキングができるかと思いました。
  • 通常とな異なる視点、思考する機会を得られた。
  • 相手を観察して相手の求める答えを探すことや、効果的に相手に伝える手法は自身の業務に有効であると感じた。
  • 相手や物の観察の方法、新しい着眼点について学ぶことができた
  • 普段、デザインと関わる仕事をしている方であればピンとくるかもしれないのですが、頭ではわかるのですがデザインと自分の仕事のイメージが上手く結びつかなくて、難しかった。ただ観察するということは大事だなと思いました。
  • どちらかといえば他者を見た目や、雰囲気で判断してはいけないということを教わることのほうが多い。しかし、思い込みではなく、様々な角度から他者を「観察」するということは、意識しないとできないことだと思った。今後の自身の人生に大きな変化を持たせてくれるような考え方を学べたと思う。
  • 業務改善を行うにあたっての目の付け所を教えてもらいました。
  • 顧客への想像力という観点は業務のクオリティー向上につながると感じた為。
  • 普通の業務では考えない内容だが、業務には必要かつ重要な考え方、スキルだと思う。
  • 視覚的な観察方法が、視覚的でないものの観察にも生かせることに気づけた。
  • チームで仕事をしていくうえで、裏の心理を読み取る力は必要だと感じた。

課題としていた「業務の固定化」に関して、自分の目で観察することや、想像力を働かせることの重要性などの気づきが見られました。
また、マネジメント層からは「参加者が楽しそうに自分の仕事と学びの活用法を語り合う姿を見て、会社の未来に希望がもてました。」とコメントをいただきました。

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用いたデザインメソッド

ROLE PLAY -演劇体験-

INSIGHT -理由分解-

OBSAVATION -行動観察-

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チーム

  • Client
    マニュライフ生命保険株式会社
  • Project Management
    白砂 貴行(DSCL Inc.)
  • Workshop Design
    平野 友規
  • Facilitation
    平野 友規