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デザイン思考とは?|プロセスの全体像と社内浸透の設計

デザイン思考とは?|プロセスの全体像と社内浸透の設計

「社内研修でデザイン思考を学んだ。でも、現場でどう使えばいいかわからない」。多くの経営者・人事担当者から、こんな声を聞きます。

定義は理解している。でも、研修が実務に繋がらない。評価の基準もない。そんな課題を抱える組織は少なくありません。

デスケルは、デザイン思考を「ユーザー中心の問題発見〜検証を、組織の共通言語にするプロセス」と定義しています。この記事では、定義・プロセス・社内浸透の設計・DX展開まで、実務に直結する形でお伝えします。

図表1:デザイン思考とは?定義・目的・効果


デザイン思考の定義と価値|他の思考法との違い

「デザイン思考って、ロジカルシンキングと何が違うの?」これは、多くの企業から最もよく聞かれる質問のひとつです。

ロジカルシンキングは「既知のデータから最適解を導く」のが得意です。デザイン思考は「まだ言語化されていないユーザーの悩みを掘り起こし、新しい問いを立てる」ことに強みがあります。

どちらが正しいというわけではなく、「アイデアを生む段階はデザイン思考、絞り込む段階はロジカル思考」という使い分けが効果的です。

デスケルが支援してきた企業の多くで、議論がいつも同じ結論に終わっていた会議が、デザイン思考でユーザーインタビューを起点に問いを再設定することで変わっていきました。「思考法を変えるだけで、こんなに変わるのか」という声が上がるのは、問いそのものが変わったからです。

図表2:ロジカル思考・アート思考・デザイン思考の違い


5つのプロセス|共感からテストまでの全体像

デザイン思考は「共感→問題定義→アイデア→プロトタイプ→テスト」の5つのプロセスで進みます。ただし、このプロセスを一直線に進むわけではありません。テストの結果を受けて共感フェーズに戻ることも、設計のうちです。

研修でこの流れを体験し、ワークショップで自社課題に当てはめることで、実務への接続がはじめて生まれます。

図表3:5つのプロセス|共感からテストまでの全体像

各プロセスの詳細はデザイン思考のプロセス|共感からテストまでの手法とポイントでご確認ください。


社内浸透の設計|研修ワークショップと実務を接続する

「研修をやったが、現場に戻ると元に戻ってしまう」。この課題の根本は、研修が実務から切り離されていることにあります。

学んだ後に「次のアクション」が設計されていないと、知識は定着しません。デスケルが提案するのは、「研修ワークショップ→実務」をひとつながりに設計することです。

図表4:デザイン思考|社内浸透の設計


社内浸透の設計|事例

デスケルで行った、デザイン思考の社内浸透の事例をご紹介します。

デザイン思考研修プログラム開発

「言われたものをしっかり作る」状態から「顧客が本当にほしいものを作る」状態へ向かうための3ヶ月間の研修プログラムを設計しました。研修後の参加者からは、「生煮えのアイデアも価値がある」という認識の転換が報告されました。思考プロセスが段階的に変わり、創造的なマインドが根付いていった事例です。研修とは別日に、デスケルのデザイナーを含めた少人数グループで「ここはどう解釈すればいい?」「実際のプロジェクトではこうしている」といった本音のシェアをオンラインで行い、参加者の内省をサポートしました(参照:デザイン思考研修プログラム開発)。

自ら発想し提案できる人材を育成するための研修プログラム開発

島根県のIT企業・テクノプロジェクトでは、提案型案件の受注増加を目指して4時間のオンラインワークショップを実施しました。参加者が実感したのは「情報収集の量がアイデア発散の幅を左右する」「ユーザー視点での問い設定がブレークスルーを生む」という気づきです。アイデア発想に苦手意識を持っていたスタッフが、ユーザー体験を起点とした発想プロセスを体得した事例です(参照:自ら発想し提案できる人材を育成するための研修プログラム開発)。

「研修満足度は高かったのに行動変容が起きない」という場合、ワークショップと実務の接続設計が抜けていることが原因です。研修で学んだプロセスをワークショップで実践し、実務でPoCとして試す導線を整えた組織ほど、メンバーの主体的な提案行動が増えていきます。


DX推進への展開|デザイン思考×DXの基本フロー

DX推進でよくある失敗は、「ツールを先に導入してから、使い方を考える」パターンです。

ユーザーが何に困っているかを理解しないままシステムを刷新すると、誰も使わないツールが完成します。デザイン思考をDXの起点に置くことで、「誰のどんな課題を解くのか」を先に定義できます。

「ユーザー起点のDX」は、ツール導入後の定着率・継続率が高い傾向にあります。開発コストを抑えながら成果を出せる理由は、最初の問いを正しく立てているからです。

図表5:DXフェーズとデザイン思考の対応

デスケルが三菱重工業のインダストリー&社会基盤ドメインを支援したDX推進事例では、各部署へのインタビューを通じて現場の実情を把握することから始めました。「重要課題の分析」「ビジョンの視覚化」「ストーリーテリングを活用した提案」というプロセスを経て、「デジタルをつかって、顧客とつながろう」というメッセージが組織内に確立されました。その成果として、新組織「成長推進室・デジタルエクスペリエンス推進グループ」の設立につながっています。(参照:社会インフラ事業のDX推進に向けたビジョン策定支援

経営企画・IT・現場の三者が同じ目線で議論するためには、「誰のどんな課題を解くのか」という問いの共有が欠かせません。デザイン思考は、その共通言語を組織に提供します。


よくある失敗パターン

最も多い失敗は、「共感フェーズをスキップして、すぐアイデア出しに飛ぶ」ことです。

ユーザーインタビューなしで出たアイデアは、チームの思い込みで満たされがちです。「課題は分かっている」と思って進んだ結果、プロトタイプを作ったときに、課題への理解度が浅かったと分かることがすくなくありません。

共感フェーズに時間を確保するだけで、その後のプロセスの効率が大きく変わります。また、「アイデアを批判しない」というブレスト原則を守らないままワークショップを進めると、発言が偏り、多様なアイデアが生まれません。

研修で学んだルールを「ワークショップの場でも守る」と決めることが、プロセスの精度を上げる第一歩です。


まとめ

デザイン思考は、定義を知るだけでなく、組織に根付かせてこそ価値を発揮します。

  • デザイン思考は「ユーザー中心の問題発見〜検証の共通言語」
  • 5プロセスは一直線ではなく、行き来しながら使うもの
  • 「研修→ワークショップ→実務」の三段階を設計することで、学びが行動につながる
  • DXにも「共感・問題定義」から入ることで、ツール定着率が変わる

まずは小さなPoCの設計から始めてみてください。

著者情報

大竹 沙織

SAORI OTAKE

大竹 沙織

Facilitator

多摩美大卒。本質を突く洞察力と高い言語化能力を武器に、複雑な課題を解きほぐすファシリテーションの達人です。抜群の安心感で場をリードし、対話から生まれた要点を図解やグラフィックで鮮やかに可視化。停滞した現場を動かし、納得の解決策へと導きます。

提供領域

  • リサーチ・分析
  • ワークショップ
  • 研修