2026年1月30日公開の映画作品『クスノキの番人』。
その作中に登場する架空の企業・施設のロゴデザインと名刺デザインを担当しました。
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課題背景
本作の制作サイドからご相談をいただいたのは、「作品の中に登場する架空の企業や団体を、きちんと“実在しているかのように”見せたい」という思いからでした。
アニメーションの中に登場するロゴは、一瞬しか映らないこともあります。しかし、その一瞬の説得力が、作品世界の厚みをつくります。
なんとなく“それっぽい”ものではなく、現実に存在していても違和感のない企業ロゴをつくりたい。そのために、普段企業ブランディングを手がけている私たちに声をかけてくださいました。
進行方法については、私たちに一任いただきました。
ただし、ご相談いただいた時点では、アニメ制作プロジェクトはまだ初期段階でした。原作小説は存在していましたが、最終的な施設のビジュアルやキャラクターの容姿、画面トーンなどは確定していない状態でした。
つまり、ビジュアル的な完成形が見えない中で、物語世界の空気感だけを手がかりにロゴを構築していく必要がありました。
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プロセス
ワークショップによるイメージの構築
今回私たちは、ワークショップ形式のアプローチを選択しました。
まずは原作小説を丁寧に読み合わせ、作品世界の温度や価値観、登場人物の立場や感情の流れを整理しました。
単に設定を把握するのではなく、「この世界に実在する企業なら、どのような思想を持つのか」という視点で読み解いていきます。
ワークショップには、監督を含め制作チーム10名以上の方に参加いただき、作品全体のトーン、設定背景、登場組織の立ち位置などを直接伺いながら、キーワードを抽出していきました。この時点ではまだ未確定であった作品設定について、各々が抱いていた考えをラフに発散する場としても機能したように思います。
付箋やラフスケッチを用いながら、言葉と形を往復するプロセスが今回の核となりました。
アニメーションという表現媒体ではありますが、私たちの進め方は実在企業のロゴ開発と同じです。
むしろ、ビジュアルの完成形が見えないからこそ、「言語化」の精度がより重要でした。



ロゴデザイン制作
ワークショップで抽出したキーワードや方向性をもとに、具体的なビジュアルの検討へと進みました。
まずはリサーチから着手します。
物語の舞台背景やモチーフとなる要素に近しい家紋・シンボル・企業ロゴなどを幅広く調査し、「似てしまう可能性のある表現」や「避けるべき具体的モチーフ」を整理しました。
架空の組織であるからこそ、どこかに実在感がありながらも、特定の既存意匠に寄らない独自性が求められます。そのため、リサーチは単なる参考収集ではなく、設計のための制約づくりとして機能しました。
また、アニメーション上での視認性も重要な観点でした。
小さく表示された際の判読性、モノクロ再現性、名刺などの静止物への展開性もあわせて検証しています。


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アウトプット
最終的に、作中に登場する4点のロゴデザインと、それぞれに紐づく名刺デザインを納品いたしました。
ロゴ単体ではなく、名刺という具体的な使用シーンまで含めて設計することで、「実在する組織」としての解像度を高めています。画面の中で自然に存在すること、そして小道具としても違和感なく機能することを前提にまとめました。
なお、これらの納品物については、アニメ制作の進行にあわせて柔軟に調整できる前提で合意しています。制作が進む中で見えてくる演出意図や画面設計に対応できるよう、可変性を残した設計としました。
実際に、細かなバランスや仕様についてはスタッフチームの皆さまにも調整を加えていただき、最終的な形へとブラッシュアップされています。
私たちが設計したロゴは、制作チームの手を経て作品世界の中に息づく存在となりました。

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チーム
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Client株式会社A-1 Pictures
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Workshop Design村上 由朗(DSCL Inc.)
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Facilitation大竹 沙織 (DSCL Inc.)
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Assistantイシイ アヤ
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Art Direction村上 由朗(DSCL Inc.)
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Design村上 由朗(DSCL Inc.)
リリース
2026年01月